| エッセンス |

広告制作業界では常識すぎることが、一般的には知られていないことがあります。
業界では常識だからこそ大事、と言えることを解説しました。

現代の「成長する企業の条件とは!?」
消費者の美意識は、成熟した商品経済の溢れる情報の中で、日々研鑽されています。デザインに鈍感な経営は、現代の競争的市場ほどミスマッチ、市場から退場の危険性と比例します。
デザインの質が低く、イメージが悪い場合は大きなマイナス要因ですが、数字にはマイナス幾らとは現れません。デザイン料が安いなら、経費が安く済んだとむしろプラスに評価されます。
しかし経営上は「無自覚にブレーキを踏み続けた状態」です。
経営学はアメリカで発達した事もあり、数値化できる項目のみを扱い発達しました。当のアメリカではその弊害にも敏感で、デザイン(ロゴマークやビジネスフォーム、製品デザインから広告まで)や、イメージ(企業や、ブランド、商品)など、数値化できないジャンルこそ重要と自覚され、重視する経営が早くから常識化しました。特にPCやIT関連の成長分野ほど、創業時から重視されました。
「成長する企業の条件とは、デザインを重視する」と言われる所以です。
「効く広告」の条件とは!?
効果的な広告コミュニケーションの条件は、ビジュアル・デザインも文章=コピーライティングも「クオリティが高い」ことです。 もしクオリティが低い広告・宣伝物では、ブランド・イメージが二流・三流のイメージとなり、広告が初めから不審感を払拭できないで、文章の内容そのものが信用されません。 競合する周知のトップ・ブランドと同レベルのクオリティの時のみ、無名ブランドでも内容の訴求効果が望めます。
消費者にとっては、すべてのブランドが、並列の選択肢ですから、もし無名ブランドが「見劣りのする」二流・三流のイメージだと、選択肢に含まれず、欄外の「弱小無名ブランド」扱いになります。
二流・三流のブランド・イメージをわざわざ広告・宣伝で市場に 流布させるほど、広告費の浪費はありません。しかし、この場合のマイナスは、数字には現れませんから、気づきにくく、垂れ流しされやすいです。
お客様は、高級ブランド・イメージには、信用を寄せ、高い料金にも納得しますが、二流・三流イメージのブランドには納得しません。 だからこそ、広告制作とは常にクオリティの高さが要求されます。
広告業界は顧客企業を「クライアント」と何故いうのか?
アメリカでは医者や弁護士が、お客様に特別な技術を提供すという意味で「クライアント」(ドイツ語:クランケ)と言っています。広告業界も同じ意味で使うようになり、それが日本にも波及しました。 医師は、国家試験の合格が条件です。それでもヤブ医者から名医まで、かなりの差があります。ですから始めの「医師選び」が大事ですね。医師の力を吟味検討して、後は信頼して任せるのが正しいかかり方です。一方、広告制作者には資格試験がありません。当然医師以上の玉石混淆状態です。始めの力量の吟味検討が一番大事です。力量とは、表現された作品が全てを物語っています。それ以上でも、それ以下でもありませんから。この大事な選択を広告代理店に丸投げは、責任の放棄に近いかもしれません。
「イメージ」とは?
人の判断の8割以上が「イメージ」に依存していると言われています。自動車や精密機器も、スペックで吟味検討されていますが、実は最後はメーカーのイメージや、商品イメージで決められる、と言われています。商品を買うというより「イメージを買っている」とも言えます。ブランドや企業のイメージが、もっとも大事な資産です。だから競合他社より高い価格でも、納得して買われるのは、性能の違いというよりイメージの差ともいえます。
日本とアメリカ、企業の違い?
アメリカの企業は、商品をバッグに詰め西部を行商する歴史から始まりましたから、商品の良し悪しより営業マンの腕次第、と企業経営を考えがちです。ですから営業サイドから広告やイメージを重視します。一方、日本の企業は優れた商品を開発した技術系の経営者が多く、商品の性能を万能と考えやすい特徴があります。しかし、商品経済も爛熟期には、商品の性能の違いが小さくなり、広告などでのブランドイメージを重視する企業が伸びました。パナソニックやソニー、ホンダなどです。
良い商品だし、広告宣伝しているのに、何故か売れない!?
社名や商品名をまだ一般的には知られていないケースでは、当然お客様は広告を半信半疑で見ます。初めに見た印象が、周知の有名競合他社と比べて見劣りする二流・三流の印象なら、文字メッセージを素直には理解してくれません。「広告だし、いい事ばかり書いているが、本当かな?」と。この懐疑心を取り除き、文字メッセージを素直に信用して理解していただく方法は、ビジュアルが一流企業レベルで、社名や商品名は知らないにしても、信用のできるメッセージかもしれないと思っていただくことです。
逆に、一部上場の周知の有名企業・有名ブランドなら、ビジュアルのレベルに関係なく信用されます。しかし、まだ無名の場合の効く広告の条件は、ビジュアルが見劣りしない一流のイメージかどうかが最も大事な条件です。
同じ会社なのに、制作のレベルにバラツキが出るのはなぜか?
広告制作は、広告代理店ではほとんど作られていません。制作の多くは制作専門会社(プロダクション)に外注されています。 広告制作の一般的なチームは、アートディレクターが広告のコミュニケーション戦略を立て、コピーライターが文章を考え、グラフィック・デザイナーが個々のデザインの細部を作り上げます。
カメラマンやイラストレーターなどは、作風を制作コンセプトに最適化させるためにその都度外注です。
この制作チームの力量にはバラツキがあり、同じ会社でも制作物のレベル差になって現れます。 個々の制作者の力量差は、会社の外部からは見えませんが、会社が作っているのではなく、基本は個人ワークなのでレベル差は宿命とも言えます。ですから、この作品を作ったディレクターに発注したいと、特定して発注するのが正しい発注方法です。